「舌平目のデュグレレ」をお家で簡単に作るレシピの紹介です。レシピと共に料理の背景、料理名にもなっているシェフ、デュグレレについても紹介しています。背景の物語を知ることで、より美味しく食事を楽しむことができるのではないでしょうか。昔ながらのフランス料理のひとつですが、重い料理ではなく今でも楽しめる料理です。ぜひ、ご一読ください。
簡単、美味しい「舌平目のデュグレレ」のレシピの紹介
舌平目をトマトや辛口白ワインで爽やかに調理して、最後にソースを少量のバターで仕上げる料理です。魚と野菜の旨味を楽しめる料理です。
【レシピ】「舌平目のデュグレレ」
「舌平目のデュグレレ」 (2人前)
材料
舌平目 | 250gのもの2尾 |
トマト | 1個 |
パセリみじん切り | 小さじ2杯 |
エシャロット | 1個 |
玉ねぎ | 1/2個 |
マッシュルーム | 6個 |
辛口白ワイン | 150ml |
バター | 30g |
レモン果汁 | 少量 |
塩・胡椒 | 適量 |
作り方
▷① 舌平目は皮をむき頭と内臓を取り除き、軽く塩を振っておきます。
▷② トマトは皮と種を除き、さいの目に切ってください。
▷③ エシャロットと玉ねぎはみじん切り、マッシュルームは石付きをとります。
▷④ 舌平目が2匹並ぶ大きさの鍋にエシャロットと玉ねぎのみじん切りをいれその上に舌平目、トマト、パセリ、辛口白ワインを加え火にかけます。
▷⑤ ギリギリ沸騰する程度の火加減に弱めて鍋のフタをして10分茹でてください。
▷⑥ 鍋から舌平目とマッシュルームを取り出し、皿に乗せます。
※もし可能なら上の身を丁寧に外し中骨を取ってからもう一度上身をもどしてください。
▷⑦ 鍋を再び火にかけ、鍋に残ったソースを温めます。刻んだバターを加えて乳化させてください。
▷⑧ レモン果汁と塩、胡椒で味を整え舌平目の上からかけて完成です。
「舌平目のデュグレレ」を作るときの2つのポイント
ポイント①
火加減は静かに優しく
鍋に材料を入れて火にかけるときの火加減がポイントです。強すぎてはいけません、静かに優しく火を通していくような火加減の調整をしてください。
ポイント②
バターはよく冷やしてあるものを使う
ソースを仕上げる段階でバターを乳化させますが、このときのバターは予め小さくきざんで、よく冷やしてあるものを使ってください。
歴史やエピソードなど
ここでは、「舌平目のデュグレレ」という料理が生まれた時代背景から、シェフ デュグレレの人となりに関して、この料理を作るにあたってどのように捉えたら良いのかまで解説しています。
「舌平目のデュグレレ」の歴史
「舌平目のデュグレレ」は1867年に開催されたパリ万博で湧くフランス、パリで生まれました。パリ市内2区に在ったレストラン「カフェ アングレ」でシェフを務めたアドルフ・デュグレレは現代に残る数々の料理で名声を獲得し、顧客を楽しませました。その料理のひとつがこの「舌平目のデュグレレ」です。今なお形を様々に変えながら世界中で食べられている料理のひとつとなっています。
アドルフ・デュグレレについて
アドルフ・デュグレレは19世紀に活躍した偉大な料理人の一人です。カレームに師事し、ロスチャイルド家の料理長も務めたデュグレレは「瞑想するのに都合の良い孤独に喜びを見出す無口な芸術家」と評される料理界の巨匠です。とても謙虚なシェフだったと言われており、たしかに自身の経歴などに関しては何も書き残していません。デュグレレは、多くの画家などとの親交が深く、教養の広いシェフでした。画家との関わりでは、ミレーやディアズへの援助を行っていたという一面もあります。また、デュグレレ自身で書き残した本は有りませんが、美食家として有名な、三銃士の作者アレクサンドル・デュマの著書の中に繰り返し、デュグレレの名前が出て来るほどその影響力は強かったようです。
デュグレレはキャリアの最後に、パリのレストラン「カフェ アングレ」のシェフとして数多くの料理を残しています。今回紹介した「舌平目のデュグレレ」の他にアンナ・デリヨンに捧げた「ポンム アンナ」やジェルミニ伯爵に捧げた「ポタージュ ジェルミニ」等、数々の料理がその有名なメニューにあたります。
「舌平目のデュグレレ」の考え方
「舌平目のデュグレレ」は、その食材、調味料のすべての要素を一つの鍋に入れて仕上げます。そしてそれらを余すことなく皿に盛り付けるのです。使う魚に関しては、ヒラメやその他の白身魚でアレンジをされることもあります。ご家庭ではお好みの魚で作って頂くのも良いと思います。ただ、何故この料理が舌平目で作られるのかという点にもポイントはあります。それは舌平目の持つナチュラルな旨味です。癖が強すぎないのにしっかり味が有るという点になりますので他の魚のときは旨味の出し方に若干工夫したほうが良いかもしれません。
「舌平目のデュグレレ」エスコフィエでの記載
原則的には、この方法で調理される魚はすべて筒切りにしなければならないが、この舌びらめの場合だけは例外である。
出典:ル・ギド・キュリネール(Aエスコフィエ)
バターを塗った平鍋に舌平目を置き、玉ねぎ1/2個、きざんだエシャロット2個分、水気を取って皮をむき、あらくきざんだトマト2個分、みじん切りにしたパセリ少々、塩、こしょう、白ぶどう酒数さじを入れる。静かにポシェして、魚皿に盛り付ける。
舌びらめの煮汁を煮詰め、魚のヴルーテ2〜3さじでつなぎ、バター30gとレモンの絞り汁数滴を加えて仕上げる。このソースを舌びらめにかける。
まとめ
エスコフィエの記載を見ても現代の作り方と大きく違わない事がわかります。19世紀のパリで作られたこの料理が約150年経った今も大きく変わることなく食べられている。そんな料理を作ったデュグレレの凄さを改めて感じます。現在では舌平目を予めさばいて、中骨でフュメドポワッソンという出汁をとってソースに使うことが多いです。エスコフィエでも魚のヴルーテを仕上げに入れています。今回はあえて出汁をとらずにそのまま魚から出る味で仕上がるようになっていますので、一度お試しください。